迷走コラム:黒とゴシックの関係〜黒ければゴシックか?~

投稿日: 作成者: nui
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今年(2023年)のサンリオキャラクター総選挙で、クロミというキャラが初めて3位を獲得したのは、サンリオ好きの間では大きな話題となったのではないだろうか。クロミは自称マイメロディのライバルで三輪車で爆走する暴走族の総長だが、恋愛話が大好きで、中身はとっても乙女なハロウィン生まれのウサギである。骸骨がついたピエロ風の頭巾を被り、尻尾は悪魔のようで、バクの子分を引き連れ、いつもニヒヒと笑みを浮かべている。今や地雷系女子のカリスマ的存在である。

そんなクロミは、世界クロミ化計画というプロジェクトをここ2~3年で実行。全部の色を混ぜれば黒になるよね、ということで、なんとクロミ以外の人気サンリオキャラを真っ黒にしたグッズまで現れたのだった。

田舎から札幌に行くたび、サンリオショップに足しげく通う私は、この光景を見て言葉を失った。キティもマイメロもポチャッコもポムポムプリンetcも全て真っ黒になっちゃったとは!その斬新すぎるクロミ化計画に、私は少しだけ「ゴシック」の精神を感じとったのだった。

ゴシックといえば、まず浮かぶのが「黒」いものではないだろうか。ゴシック的で黒いものには、黒服がある。ミホマツダ、アリスアウアアなど、ゴシック服を作っているブランドには黒が使われていることが圧倒的に多い。しかし、中には白ゴスや赤ゴスなど、黒以外でもゴシック服と言われるものはたくさんあり、黒いからゴス、ゴスだから黒とは一概に言い難い。黒で統一していながらもロリータである、黒ロリなども存在しているからである。

しかし、黒服というものには他の色の服にはない、ダークさや闇深さ、退廃さ、そしてモードな凛々しさが感じられる。それは何故か?そこには黒が持つ、全てを吸収するブラックホールのようなエネルギーがあるからではないだろうか。

1980年代くらいに発生した、全身黒ずくめの服を身にまとったカラス族というファッションムーブがあったのは有名だ。ヨウジヤマモトのコムデギャルソンブランドが起こした「黒の衝撃」「東からの衝撃」は、当時喪服くらいにしか使われなかった黒服を普段着にも着用できるように、世界規模でファッション界を大きく変えた。今でこそ普段着として多用される黒服だが、昔は禁欲的や宗教的だとタブーとされていたらしい。このカラス族の精神は、ゴシックというよりモード寄りだと思うが、それでも孤高の黒を全身に身にまとうという意志の強さは、ゴシック服を着る者の意識と似たものがあるのではないだろうか。

その遥か前、1926年にココ・シャネルが開発したリトルブラックドレスと言われるモードなファッションも、当時多くの女性の心を掴んだ。オードリー・ヘプバーンに代表される大物女優やモデルがこぞって着ることとなり、今でもリトルブラックドレスは女性が輝く特別な黒服として人気が途絶えない。ただ、この服は確かに黒だが、ゴシックと言えるかはわからない。ゴシック服にある退廃さが存在していないからである。黒ロリがロリータと言われる所以は、そこに退廃さがなく、ロリータの要素をそのまま黒く染めているからである。なのでどちらかというと、ロリータの精神に近いといえる。

となると、キャラクターを黒くしただけに見えるクロミ化計画は、その理論ではゴシックとは言えなくなる。だが、そこに退廃さやダークさがあれば別である。果たして私がサンリオショップで見たあのクロミ化計画は、ゴシックと繋がるのか?

クロミは一旦置いといて、サンリオにはごくわずかだがヴィランキャラがいる。その一つがルロロマニックである。人気キャラシナモロールの敵で、シナモロールを反対から読むことで命名された二匹のキャラだが、こいつらがとてもゴシック寄りなのである。ゴシック様式の洋館に住み、背中にはコウモリの羽が付くなど、ところどころにゴシックに繋がる要素が散りばめられているキャラで、ファストファッション店でも見かけることが増えてきた。

このルロロマニックこそ、クロミよりもゴシック的なキャラと言えると私は思う。ただマイナーキャラなので知名度は低く、クロミの人気には現時点ではなかなか勝てそうにない。だがサンリオのゴシック化が進めば、いつかライバルのシナモロールを追い抜く日がくるのかもわからない。

世界クロミ化計画はただサンリオキャラを黒く染めるだけではない。他の計画も多くやっているのだが、私が目についたのがこの黒化だった。そういえばベネディクト会は修道服を黒く染めた宗派で有名だが、これは遠いところである意味結びつくだろうか?「ゴシックカルチャー入門」を執筆した後藤護氏によるとハムレットで殺人を犯していた人物は黒服を着ていたそうだし、ヴィクトリア朝には喪服が流行った。これは当時のヴィクトリア女王が夫アルバートが亡くなってからというもの、死ぬまで常に喪服である黒服をまとっていたからである(色彩アレルギーのアダムスファミリーのウェンズデーも常に黒服だ)。

四季の差があまりないヨーロッパで、黒は自然界の色としてうやまれてきた歴史があり、逆にカラフルな色は自然に反する色として蔑まれてきたらしい。黒は元々は退廃的というよりも神聖な「神の色」として扱われていたのである。喪服に使われるのは、「死」を表す色として用いられているらしいが、葬式の厳かさを見てみると、黒は忌み嫌われている色とは言い難いのではないか?むしろ、神聖な色に私は感じている。

だが、神聖さと退廃さは紙一重だと思う。天使だった者が神に反逆し悪魔に堕ちたように、神聖さの中には闇が潜んでいる。神聖だからこそ、それを引き裂いて穢したくなるというサディスティックな精神こそ、ある意味ゴシック的であり、それが叶う色こそ黒だったのではないだろうか。

神聖さの中に闇をはらんだ黒は、やはりゴシック的なのだ。だからこそ、かわいいキャラクターを黒く染めて闇堕ちさせたクロミ化計画は、結果的にゴシック的と言えるのだと思う。

黒ロリも、ロリータではあるがやはりゴシックの闇堕ち感がある。そして、その要素を強く打ち出せば、光と闇をはらんだゴシックロリータとなる(広義でのゴスロリとは別の、ゴシックとロリータの要素が入ったファッションジャンル)。ということは、かわいいものはいつだって闇堕ちする可能性がそこにあるということだ。天使と悪魔は元々同じ種族だと書いた。これは天使さえ闇落ちしたのだから、より下等な人間だってそうである。人間は善悪をはらんだ生き物であり、どちらに転ぶかはいつも誰にもわからない。誰もがその狭間で彷徨っている。そのグレーゾーンで徘徊することを許したファッションこそ、ゴシックロリータなのだ。

光と闇をはらむゴシックロリータ以外にも、ゴスロリ界隈ではジャンルは数多く存在し、いまや闇とか光とか言う前にカオス状態である。広義でのゴスロリは嫌煙されがちなファッションスタイルではあるが、最近では地雷服や量産型服などのサブカルファッションを媒介としたりして、間口がどんどん広くなっている。

まあゴスロリの起源や精神とそれらのファッションはベクトルがまず全然違うのだが、それは置いといて、ゴスロリが懐古ロリータなど再びブームとなりつつあるのも、今の時代を生きる人間達が、本当の自分の心の居場所が、SNS疲れなどで不透明になりつつあるからではないだろうか。自分は光か闇か、それともどちらにも生きる人間なのかということを。

(ちなみに聖母マリアも完全な聖人とは言い難い一面があるらしい。札幌で開催された「祝祭の呪物展」でそれが明らかとなった。マリア像を集めまくった人物がいたのだが、ある時夢か何かでマリア様から直々に『なめんなよ』的な脅しをかけられたそうだ。その出来事が起こった時にコレクターが手に入れていたマリア像が展示されていたのだが、ビビリな私は空恐ろしくて直視出来なかった。聖母マリア様でさえそうなのだから、完全なる聖人などいない訳である)

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nui

プチプラでものを作ったりするのが大好きなライター。 主に100均と手芸屋さんに出没します。 ゴシックロリィタ服が好きだけど買えないので、自分で作ることにして、洋裁を好きになりました。 貧乏でもゴシックロリィタやお洒落などが楽しめる方法を書いていきたいです。
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