絵本研究《いるの いないの》~怖さとは何か~

投稿日: 作成者: nui
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絵本といっても、ほのぼのとした楽しい絵本ばかりではない。時にはギクリ
とするような、背筋が凍る絵本を読むのも乙なものである。今回は、そんな怖
い絵本、怪談絵本について取り上げてみたい。

《いるの いないの》

京極 夏彦 (著), 東 雅夫 (編集), 町田 尚子 (イラスト)

私が足しげく通う、通称遊べる本屋、ヴィレッジバンガードというお店にそ
の絵本はあった。何気なく絵本コーナーに立ち寄り、何気なく手に取ったこの
絵本。しかしこれがこんなに恐ろしい絵本だったとは…。

~あらすじはこんな感じ~

「おばあさんの古い家で、ぼくはしばらく暮らすことになった。その家の暗が
りに、だれかがいるような気がしてしかたない—」

読んで思ったのは、とにかくこの手の怖さは日本らしいということだ。本当
かどうかはわからないが、アメリカあたりだとモンスターなどが出て来ないと
怖いと感じないだとか(”エイリアン”のような映画はまさしくそうかも?でもあ
の最後らへんの不意打ちだけは、日本人の私もさすがにびびった)。

が、日本のホラーは雰囲気で演出するところがあると思う。電気を消し、ボウッと蝋燭の火がゆらめく中で、静かに語られる怪談。すーっと襖が開き、恨めしげにこちらを見る長い髪の幽霊。でもそういう雰囲気、実は私は嫌いではない
(笑)。

この怪談絵本に出てくるおばあちゃんの古い民家の表現も、全体的に薄暗く、不気味な雰囲気を醸し出している。日本のホラーには、世界に誇れる独特な世界観があると私は思う。

しかし、何故人間には怖いという感情があるのだろうか。ちょっと調べてみ
たところ、人は未知なものに恐怖を感じるのだという。この絵本「いるのいな
いの」も、未知なものに対する不安・恐怖を描いている。しかしそこには同時
に少しの好奇心がある。怖いけど気になる知りたいという「怖いもの見たさ」
は、いつになっても私達の心の中にある。だから今でもテレビの番組で心霊ス
ペシャルをやったり、仲間内で集まり怖い話を語り合ったりするのだ。

「怖い」という感情は、嫌な気持ちになったり不安を掻き立てたり、あまり
嬉しくない感情の一つだとは思う。でも怖さは悪い感情ではないとも思う。怖
さが人間から無くなったら、人は傲慢になる一方だと思うからだ。

日本の美術には昔から幽霊画という分野がある。色々な説があると思うが、これは元々、泥棒避けに描かれたのだと日本画家・松井冬子が言っていたのを聞いたことがある。「毒をもって毒を制す」というように。未知なるものへの畏怖の念が、人間の傲慢さを上手く制しているのではないか。

また、私の敬愛する映画監督の「ティム・バートン」の世界観も、いわゆる「コワカワイイ」と言われることがあるように、「怖い」も一種の文化として認められてきているのではないだろうか。怖いものが存在しない世の中なんて、生きていても深みが足りない気がする。

話がだいぶ逸れてしまったが、この絵本は大人でも十二分に怖がり愉しめる
作品だと思う。いや、大人ぐらいがちょうど良いのかもしれない?(笑)

ちなみにこの絵本はシリーズもので、他に宮部みゆきや恩田陸などが文章を書いたものもあるので、興味があれば是非そちらも読んでみては。

何がいるのか、いないのか。
その謎の存在にドキドキしながら、ゆっくりとページをめくる、その後ろ側には…………

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nui

プチプラでものを作ったりするのが大好きなライター。 主に100均と手芸屋さんに出没します。 ゴシックロリィタ服が好きだけど買えないので、自分で作ることにして、洋裁を好きになりました。 貧乏でもゴシックロリィタやお洒落などが楽しめる方法を書いていきたいです。
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